「誰かにとっての宝物を作ることができるなんて、人生の中でそうそう無いよ。」

ちょっとばかり、オタク趣味で絵心があったので。
ちょっとばかり、その方のお話をよく聞いていたので。
きっかけは本当に些細なつもりでした。

お誕生日のプレゼントになればと、あるお父さんの人生を、紙芝居にして上演しました。

かみしばい

 

玄玄に来られる皆さんはそれぞれ個性がバラバラですし、
勿論認知症の深い方もおり、耳の遠い方もおり、目が見えにくい方もおり…、
正直実際にやってみるまでどんな反応が返ってくるかなんてわかりませんでした。
お父さん自身も飽きずに楽しんで聞いて下さるかどうか…とドキドキしながらの開演でした。

「おい、もうちょっと、ゆっくり!」

始まって早々、お父さんの声に顔を上げると、
目を潤ませながら、必死に話を聞いて下さっていました。
「やれんようなるよ…」と何度も溢しながら、時折「あんたよう知っとるの!わしを産んだんか!」と得意の冗談も混ぜながら。

情熱的に生きてこられ、定年後は絵本作家として活躍されたお父さん。
「ようできとる。絵はこれでええけん、文章を添削してあげよう。それで、本にしよう!」
と、上演後はとてもイキイキと作家スイッチが入り、お父さん印税がっぽりねイヒヒ、なんて茶目っ気のある笑顔も見せて下さりました。

紙芝居をお持ち帰り頂いた後日。

ご家族からのお便りで、「家宝にして、孫やひ孫に語り聞かせます」と書かれていて、ぶわあ〜っと目頭が熱くなりました。
ご家族皆さんにとって、お父さんの人生は、それだけ誇りだったんだなあ。

そして、家宝を作れる仕事なんて、他にあるだろうかと。
なんだろうか。喜んでもらうつもりが、結果自分が嬉しくなっている…心の豊かさのループ!

しんどいときやら悲しいときやら赤子の自立に連れて手がかかるやらなんやらあるけれど、こういう気持ちをエネルギーに進んでいけると思ったわたしでした。

 

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